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「叱らない」が子ども苦しめる とは? ~はぐちるプロジェクト研修会
「叱らない」が子どもを苦しめる』とは?~「弱さを認める強さ」を持つための大切な関わり方~
福井県と石川県でスクールカウンセラーをしてみえる薮下遊先生をお招きして、はぐちるプロジェクト研修会を開催しました。私なりに研修会の内容をまとめてお伝えします。(藪下先生の本意とは違うところがあるかもしれませんので、ぜひ著書等でご確認ください)
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★時代による不登校の変化について、社会・学校・親が学校には行くべきという価値観を持っていた時代は、学校に行きにくい気持ちを抑え込み、良い姿で過ごしていた子どもが、自我が出る10歳くらいになると心のバランスを崩して不登校になることが多く、「無理をせずゆっくりと休む」は非常に効果的だった。そして、その葛藤がささえられることで精神的成長を遂げることができた。社会・学校・親も「登校させねば」という意識が強くなくなってきた今は、「ゆっくり休む」が効果的な子どもは減った。子育ての中で、自分を抑える、我慢するというマインドがなくなってきて、不登校の低年齢化、苦手なものから遠ざかるように不登校になるなどの事例が増えてきた。
★この変化について、「こころの課題」から見ていくと、0歳~1歳の子どもは、きちんと反応・対応してもらえることで基本的信頼感や万能的な有力感をもつが、1歳過ぎからは、万能感という錯覚から脱するために、変えられない現実の世界とぶつかり、失敗し、それでも大切にしてもらえると感じられることが大事。また、自分の嫌なことはしないという自分だけの意識ではなく、みんなで、という共同体感覚を育てる関わりも大事。
★しかし、この成長段階に応じた「こころの課題」が達成されないと、世の中の思い通りにならないことが、「ふつうだよ?」ではなく、「おかしい!」になってしまう。
成長過程において、外界は「コントロールが効くもの」という感覚になってしまうと、学校の中で体験するちょっとした「思い通りじゃない」ことが大きな不快になって小学校入学後の登校しぶりなどにつながってしまう。
★子どもは決して完璧ではない(もちろん大人も)にもかかわらず、大人が、「子どもを叱らない。ダメなところを指摘しない。ごまかしをスルーする。精神的な負担を無くそうとする。」のは、子どもにとっては、ネガティブな自分を誰かと共有し、それでも自分の存在を認められるという経験を得られないことになる。
弱さを受け入れてもらったり、ダメな自分でも大切にされる、支えられる経験(←この経験が大事!)がないと、ネガティブな自分は見捨てられるのでという脆弱さや虚しさ、またプライドの高さの中で苦しむことになる。
★大人の役割は「現実を示す」+「そのショックを支える」ということ。不適応や問題が現れた時には、支援として「現実を歪めないように伝えつつ、その時の苦しさを共有する」対応をしていく。
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短い言葉で書いてしまうと、伝わりにくいですが、今の時代の子どもとの関わり方について、たくさんのヒントをいただける研修会となりました。研修会最後には、「少しでも子どもたちの成熟を促せるよう、粘り強く関わっていきましょう。」との藪下先生からの言葉がありましたが、適切に関わることについて、もっと社会全体で考えていく必要があると思いました。ぜひみんなで考えていきましょう!
研修会にご参加、ご協力くださった皆様、関心をもってくださった皆様、そして熱い研修をしてくださった藪下先生、
ありがとうございました!